特定技能と技能実習の違いは?
「特定技能」と「技能実習」は、外国人の在留資格のうちの1つです。
外国人労働者の雇用を考えたときに検討する方も多いかもしれません。
特定技能と技能実習を混同して使用されることもありますが、全く異なる制度です。
目的や受入れ方法、就労の範囲、在留期間など、さまざまな点で異なりますので、ここでは、代表的なものを解説します!
制度の目的と背景
特定技能 | 技能実習 | |
目的と背景 | 日本の少子高齢化による深刻な労働力不足に対応するため、特定の産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を確保 | 日本の技術・技能の移転を通じて、発展途上国などの技術者を育成し、母国の発展に貢献 |
法的効果 | 出入国管理及び難民認定法 | 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律 |
受入れ可能な業種・職種
特定技能と技能実習では就業可能な分野業種が違う
※技能実習にあって特定技能にはないもの、その逆もある
●特定技能
分野:12分野(+4分野追加予定)
職種:各分野における特定の職種
※詳細は「出入国在留管理庁HP」へ
●技能実習
職種:90職種
作業:166作業
※各業種内で複数の職種があり、実習生が従事する職種は実習内容によって異なる
※詳細は「厚生労働省HP」へ
在留期間
特定技能と技能実習では在留期間が異なります
●特定技能
1号:通算5年
2号:無期限化
●技能実習
1号:1年以内
2号:2年以内
3号:2年以内 合計5年が最長
※技能実習から特定技能への移行
1.技能実習2号を良好に修了(技能実習を2年10月以上修了)
2.技能実習での職種/作業内容と特定技能1号の職種が一致
上記の場合、特定技能への移行条件である「日本語試験」「技能試験」が免除
受入れ方法と人数制限
◆受入れ方法
特定技能は、海外の外国人を採用する方法と日本に在留している外国人の受入れも可能
技能実習は、団体監理型か企業単独型で海外にいる外国人を採用する方法
◆人数制限
特定技能は、介護・建設分野を除き、原則上限人数の設定はありません
技能実習は、事業所の規模により受入れ人数の上限が設定されています
※団体監理型で技能実習1号の場合(事業所の常勤職員総数別上限)
30人以下 : 3人 101~200人: 10人
31~ 40人: 4人 201~300人: 15人
41~ 50人: 5人 301人以上 : 常勤職員総数の20分の1
51~100人: 6人 上限を超える受入れは認められません
※所定基準を満たす「優良基準適合者」は、基本人数より優遇されます
優遇率は、1号:2倍、2号:4倍、3号:6倍
転勤の可否
●特定技能
就労を目的としているため、転職が認められています。
※その分野における技能評価試験に合格するなど一定の条件あり
●技能実習
在留目的は就労ではなく実習であり、転職という概念がありません。
※例外的に許可されるケースあり(受入れ先企業の都合など)
家族帯同の可否
●特定技能
2号を取得した場合に「配偶者と子どものみ」認められてます。
●技能実習
帰国を前提に制定されているため家族帯同は不可。
試験と技能水準
◆試験
特定技能は、「特定技能評価試験」と「日本語能力試験」の合格が条件です。
技能実習は、介護職種のみ日本語能力検定N4レベルであることが求められますが、その他の職種では特にありません。
◆人数制限
特定技能は、1号・2号共に就労する分野の知識が一定以上あることが条件です。
技能実習は、入国前に特定の技能を習得する必要がありません。
関係する事業者
●特定技能
企業と特定技能外国人は雇用関係にあるため、基本的には2者間で完結します。
※企業を支援する登録支援機関が介在することもあります
●技能実習
監理団体や送出機関など、企業と実習生の間に入る団体や関係者の数が多くなります。
監理団体が実習の監理や支援を行います。